このブログは同名の書籍「研修医はじめの一歩」(リブロ・サイエンス発行)から、日記部分だけを抜粋してお届けしています。

この物語はフィクションです。


==============


医師を志す主人公・山際悟史のもとに届いた、亡き父(山際  薫)の研修医日記。

その日記を読みながら悟史の頭に浮かぶ、臨床研修上の数々の疑問。

 ・
 ・
 ・ 
 ・
 ・
 ・
 ・ 
 


424




 カンファレンスの発表中、池内先生のPHSが鳴って、先生がどこかへ消えた。なんか嫌な予感がした。その予感は的中した。
 「内科に大腸癌の穿孔の人がいて、これから緊急手術だから準備して」
 昨日も当直だったのに。しぶしぶ内科に診察しに行くと、腹を抱え痛みで何も話せない患者さんがそこにいた。

 近藤泰三さん、男性。80歳であったが、今でも自分で会社を経営しているそうでとても80歳には見えなかった。数か月前から下血を自覚したけど誰にも言わずにいたそうだ。「早く言えば良かったのに」と奥さんが手を握りながら話していた。
 確かにCTをみるとフリーエアーがあった。

171大腸癌


 「先生、助けてください」

 絞り出すように近藤さんは言った。

 「よし、俺の手でこの人を救わなくては」
 決して俺が救うわけではないのにそんな気持ちが突然、湧き上がり、昨日一睡もできなかったことなど、どこかへ飛んで行ってしまった。

 手術は、癌を切除し再建した後、人工肛門を造設。最後に、手術室にある生理食塩水全部ではないかと思うほどの量で腹腔内を洗浄した。
 術後は全身状態が不安定だろうということでICUに入室した。はじめてのICUだ。緊張。(100)

 ICU病棟の指示簿は病棟よりも細かく、看護師さんも忙しそうでなにか少し冷たい気がした。質問も鋭い質問だったし。(101)

 手術が終わり、ひと息つくと、もうすぐ明日。患者さんの状態も気になるし、今日も病院で寝ることにした。幸いICUには仮眠室なる部屋があって、そこで眠れそうだった。(102)

 ICUにはいろいろな機械があった。人工呼吸器や透析(?)の機械など。
 何か全くわからない機械があったので見ていると、人の良さそうなお兄ちゃんが声をかけてきた。その兄ちゃんは、その機械が大動脈内バルーンパンピングという恐ろしい機械であることを教えてくれた。

 その兄ちゃんは臨床工学技士といういろいろな医療機器を扱う人だった。
 「また、何かわからないものがあったら言ってね」なんて、非常に良い人だった。
 研修医にとって先生とは何も上級医ばかりではないことを知った。(103)

 明日は帰るぞ〜。






疑問
悟史の疑問100
ICU病棟とは?
 ICU病棟は普通の病棟とどのように違うのだろう?


悟史の疑問101
ICUの看護師さんが厳しくて冷たく感じるのはなぜ?
 ICUの看護師さんが冷たい? どういうこと?


悟史の疑問102
ICU病棟には泊まるところはあるのか?
 ICUには仮眠室があるのか。
 集中治療だから泊まり込む研修医も多いのかな?


悟史の疑問103
研修医にとって病院の中の人はすべてが先生。
 病院の中にいる人すべてが、先輩だしな。
 周りの人すべてからいろいろなことを吸収する姿勢が大切なのかな?






医大生 ブログランキングへ 


==============

悟史の疑問については書籍で解説しています。
 ↓ ↓ ↓
病棟実習や研修前に読んでおくとよい「研修医はじめの一歩」シリーズ
サンプルページはこちらからどうぞ。
ippo
青本(ドキドキの生たまご編)
(Amazon)

 

==============

心電図アレルギーの人にオススメ
笑いながら身につくモニター心電図の基礎知識。
BIBITTO
ビビッと心電図−波に乗ったお笑い芸人−
(Amazon)