このブログは同名の書籍「研修医はじめの一歩」(リブロ・サイエンス発行)から、日記部分だけを抜粋してお届けしています。

この物語はフィクションです。


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医師を志す主人公・山際悟史のもとに届いた、亡き父(山際  薫)の研修医日記。

その日記を読みながら悟史の頭に浮かぶ、臨床研修上の数々の疑問。

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 昨日入院した、山口さんの調子が思わしくなく、腸閉塞症状は悪化していた。午前中に透視室でイレウス管を入れることになった。
 実は、イレウス管を入れるのははじめてではなく、ほかのチームでやっているのを見学したのを含めると3回目だった。検査の準備をきちんとできるかで、その検査を一人だけでできるかが決まるということを池内先生に言われていたので、少し早めに検査室に行って、準備をしてみた。(128)
 
 準備をするためには、検査手順がすべて頭の中に入っていないとできないし、何度もイメージトレーニングができてよかった。実際の検査時のアシストもイメージトレーニングのおかげか、早めに次にやることがわかっていたので、そつなくできた(気がした。自分では)。

イメトレ


 昼に内視鏡室の池内先生から、「今からすぐ来られる?」との電話をもらい、内視鏡室へ駆けつけた。

 そこには食べ物が喉につかえる感じがすることを主訴に持つ、77歳の守屋さん(男性)が横になっていた。

 「食物のつかえ感=食道癌?」

と国家試験レベルの知識で、内視鏡を見ているとビンゴだった。しかもかなりの狭窄だった。緊急入院になった。

 「食道に大きなしこりがあって食べ物が通らないので入院しましょう」

 池内先生の説明を、黙って守屋さんは聞いていた。

 「じゃあ先生、入院。よろしくね」

 そうパスを受けた俺は、病棟まで守屋さんを車いすで運んだ。
 もともと無口なのか、緊急入院でショックだったのか、守屋さんは何を話しかけても、終始答えてはくれなかった。唯一、エレベーターに乗るときに、満員で乗れないことが続いたことに、「これは、病人優先じゃないのか?」と怒ったような、低い声を聞いたのみだった。(129)

 入院後、看護師さんの話だと、守屋さんは天涯孤独らしい。若い頃は建築の石屋さんだったそうだ。なかなかの腕で若い者から慕われていたらしい。それが、腰を痛めてからは年金暮らしになり、それからはずっと一人で寂しく暮らしていたとのことだった。

 俺の質問には何も答えてくれなかった守屋さんからここまでの情報を引き出した狩田さんを、俺は「剛腕刑事兼看護師 狩田」と呼ぶことにした。その剛腕刑事がニヤニヤしながら近づいてきて俺にこう言った。

 「守屋さんが、聞きたいことがあるから、さっきの若いの連れてこいって言ってるよ」

 「なに、若いのだと! 俺だって医者だぞ!」




 「今は、絶対にダメです。院内にどこにもないですから」

 少々熱くなってしまった。なぜかって? 守屋さんが俺に聞きたかったこととは、「たばこを吸える場所はどこなのか?」だったからだ。(130)

 冗談じゃないっすよ。夕方の回診で、古木先生に話をすると、「なんで? たばこ、吸っていいよ。喫煙所、外来の受付にもあるし」と意外な返事。

 「あれ? いいの?」

 あとで池内先生に聞くと、手術前の患者さんは止めてもらうけど、守屋さんの場合手術にはならなさそうで、ストレスとか総合的に判断して許可したのでは、ということだった。難しい。(131)








疑問
悟史の疑問128
新しい手技を会得する一番の近道は何か?
 検査の準備をすることも重要なのか。親父の言うように検査手順をすべて理解していないとできないことだから大変だろうな?


悟史の疑問129
病院内のエレベーター使用について。
 病院のエレベーターは大きいのから小さいのまでいろいろあったけど、どのように使い分けているんだろう?
 車いすの人専用とかあるのかな?


悟史の疑問130
病院内に喫煙できる場所はあるのか?
 院内にたばこを吸えるところはどこにあるのかな?


悟史の疑問131
入院患者はすべて禁煙ではないのか?
 あれ? 入院患者さんは全員、禁煙じゃないの?
 喫煙を許可することもあるの?
 どういう患者さんのときは許可するの?




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