このブログは同名の書籍「研修医はじめの一歩」(リブロ・サイエンス発行)から、日記部分だけを抜粋してお届けしています。

この物語はフィクションです。


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医師を志す主人公・山際悟史のもとに届いた、亡き父(山際  薫)の研修医日記。

その日記を読みながら悟史の頭に浮かぶ、臨床研修上の数々の疑問。

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 今日の当直の朝方には、立て続けに呼ばれた。
 朝ももうすぐ6時だというのに、酩酊の学生がやってきた。両側を友達に抱えられて、本人はぐったりしていて動かない。バイタルはしっかりしていたので、とりあえず点滴をして様子をみることにした。
 問題は友達で、待合室で奇声をあげるは、暴れまくるはで大騒ぎだった。中谷先生が一喝して静かになった。どんな患者さんでも診察しなければならないから医者は大変だ。(162)

 その後、もう一人来院した。朝、もうあと30分で外来受付が始まるという時間に、50歳の男性が独歩で来院したのだ。主訴は腰痛だった。
 歩いてきていたし、中年男性の腰痛なので尿管結石を一番に疑い、尿検査と採血を行った。尿検査の結果が出たところで、当直の時間が終わってしまったので、泌尿器科の初診外来担当の先生に連絡して引き継ぎをした。(163)

 朝が来て、通常業務がまた始まった。午前中の手術を終えてひと息ついていると、手術室に中谷先生がいることに気がついた。血液内科の先生が手術室にいることが珍しかったので、「担当患者さんが手術ですか?」と呑気に聞いてしまった。

 いつもと違い少し焦っている様子の中谷先生は、そのあと衝撃の事実を口にした。なんと、朝方、救急外来で診察した50歳の男性は尿管結石なんかではなく、腹部大動脈瘤の解離だったとのこと。そして、今、緊急手術をしていると。



 なんと……。



 幸い手術は夕方に無事終わって、命には別状なかった。

 俺は穴があくくらい、温度板を見入っていた。温度板からではわからないこともあるので直接ICUに出向いたりもした。(164)

 ショックだった。今回はたまたま良かったけれども、もし外病院などで一人で診察をしていたりしたら、もしもっと深夜の眠い時間に患者さんが来院していたら、正しい判断ができただろうか。
 もしかしたら、尿管結石疑いで家に帰してしまっていたかもしれなかった。何も言えなかった。とにかくこのことから学べることは学ぼうとだけ思うのが精一杯だった。

 今日は散々な日であったが、一つだけ嬉しいこともあった。虫垂癌の藤井さんのことを、今度の地方会で発表するように言われたのだ!! やったぞ!

 最近少々、ガス欠ぎみだったけど、ここが踏ん張りどころの気がする。根拠は全くないが、ここを越えられたらもうひと回り大きく成長できる気がする。頑張ろう。(165)






疑問
悟史の疑問162
どんなことがあっても診療は拒否できませんが、どうしても困ったときはどうするか?
 酔っぱらって暴れまくる患者さんとか診察するのはいやだな。どうにかならないのかな?


悟史の疑問163
朝の一般外来が始まる間際に来院した救急の患者はどうするか?
 朝のぎりぎりの時間に来院した患者さんの診察が途中だった場合、当直帯が終わった後はどうするんだろう?


悟史の疑問164
温度板からわかること、わからないこと。
 温度板にすべて患者さんの情報が載っているわけではないのかな?
 直接、行かないとわからないこともあるのかな? 


悟史の疑問165
苦しいときに頑張れるかで、その後の自分が変わります。
 辛いときこそ頑張ろうとしていて親父はすごいな。
 研修医だったらみんなこんな気持ちになるのかな?
 辛いとき、僕だったら頑張れるかな? 




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